風味豊かな天然酵母パン。そんな天然酵母のパン作りにおいて捏ね方は酵母の特性やグルテンの形成、そして生地へのダメージを防ぐためにおいてとても重要です。今回は天然酵母を使用したパン作りでの伸ばし捏ねの効果や推奨される理由について紹介します。
はじめに
イーストでのパン作りは叩いて捏ねる叩き捏ねでのレシピが多数あります。理由としてはイーストは発酵力が比較的強く、性質上叩いて捏ねることで短時間でグルテンをしっかり形成することができるからです。しかし、天然酵母では叩き捏ねではなく伸ばし捏ねが推奨されています。その効果や理由について紹介していきます。
「伸ばし捏ね」4つの効果
天然酵母を使用してパン作りを行う際に伸ばし捏ねで捏ねると4つの効果を得られます。
グルテンの発達
伸ばし捏ねは、生地を優しく伸ばすことでグルテンをゆっくりと発展させます。叩くように強い力を続けると、グルテンが徐々に伸びすぎたりしてしまうことがあります。伸ばし捏ねをすることで、グルテンがゆっくりと均等に発展し、パンがしなやかで柔らかくなります。
生地の酸素供給
伸ばし捏ねによって、発酵を促進するための酸素が生地に供給されます。それにより発酵した生地には、ゆっくりと時間をかけて作られた気泡が含まれます。この気泡を保つことが、パンのふわふわした食感に繋がります。叩いて捏ねると壊される可能性があるため、優しく伸ばしながら捏ねることで気泡を壊さずに生地を仕上げます。
酵母の活性化
天然酵母はドライイーストに比べて発酵力が穏やかです。叩くように捏ねると質感が失われる可能性があります。 伸ばし捏ねをして優しく生地を扱うことで、発酵力をうまく引き出し、ふんわりとしたパンに仕上げることができます。
生地の柔らかさ・柔軟性の向上
叩いたり練ったりして捏ねる方法は、強力な筋肉を持つグルテンに対して有効ですが、天然酵母の生地は繊細です。叩くと生地にダメージを与える可能性があり、結果として膨張することがあります。伸ばし捏ねは生地に優しく、適度な力を使って生地を扱うので、柔らかさや膨らみを維持しやすくなります。その結果、焼きあ上がりのパンの食感やクラム(パンの内側の部分)の状態が向上します。
伸ばし捏ねが推奨される理由
伸ばし捏ねが推奨される理由は大きく分けて2つあります。
過剰捏ねのリスク回避
機械的に強くこねすぎると酵母が損傷する
天然酵母を使ったパン生地は、イーストと比較してデリケートであるため、過剰に捏ねると酵母がダメージを受けやすくなります。機械的に力が強すぎると酵母の細胞が破壊される可能性があります。酵母が傷むと、発酵力が弱まり、膨張してしまったり、風味が薄くなってしまったりすることがあります。 特に、天然酵母パン作りにおいては「伸ばし捏ね」で捏ねることで、酵母へのダメージを抑えることができます。
風味が伝わる
天然酵母は、ゆっくりとした発酵によって複雑な風味を生み出すのが特徴です。香りが飛んでしまって、完成したパンが持つべき味わいや香りがなくなってしまうのはもったいないです。「伸ばす捏ね」は生地にかかる力が穏やかなため、酸化を防ぎ、酵母のもつ自然な香りを残すことができます。
手軽さと家庭でも再現可能な技術
特別な道具が必要ない
伸ばし捏ねは、パン作りに慣れていない方でも簡単に実践でき、特別な道具もほとんど必要としません。一般的な家庭のキッチンでもスペースを取らず作業できます。手軽にパン作りの技術、伸ばし捏ねで生地を捏ねることで、生地が徐々に変化していく様子を楽しめるのが、この技法の魅力です。
簡単にできる
この方法は疲れにくいため、特に初心者や体力に自信がない方に向いています。家庭での手作りパン作りにぴったりです。さらに、毎回のパン作りで同じ手法を何度も簡単に、同じ風味や食感を再現しやすいのもメリットです。
まとめ
生地の捏ね方ひとつで大きくパンの風味が変わります。今回の内容のまとめです。
「伸ばし捏ね」4つの効果
- グルテンの発達:グルテンがゆっくりと均等に発展し、パンがしなやかで柔らかくなる
- 生地の酸素供給:生地に気泡が保たれパンのふわふわした食感に繋がる
- 酵母の活性化:発酵力をうまく引き出し、パンの質感を維持する
- 生地の柔らかさ・柔軟性の向上:生地にダメージを与えず柔らかさや膨らみを維持しやすくなる
「伸ばし捏ね」が推奨される理由
- 過剰捏ねのリスク回避:酵母へのダメージを抑え、酸化を防ぎ、酵母のもつ自然な香りを維持
- 手軽さと家庭でも再現可能な技術:特別な道具が必要なく、簡単に実践できる
風味豊かな天然酵母パンの良いところが最大限に引き出せるよう、生地を捏ねる際は「伸ばし捏ね」で捏ねることをおすすめします♪過剰捏ねのリスクを避け、手軽さと風味を両立できる「伸ばし捏ね」は、特に家庭でパンを楽しむ人にとって、最適な技術と言えます。

